有用微生物の普及活動
EM技術
EMは、さまざまな環境問題を解決しながら、同時に安全で多収穫な食の生産を成し遂げてしまうという摩訶不思議でありえようもない世界を私達の前に現出してくれました。開発者である比嘉照夫教授は、その微生物の絶妙な組み合わせを考え、世に送り出しました。彼は、微生物は混ぜないというそれまでの常識を破って、嫌気性、好気性の微生物を混ぜ合わせ、これによって各々の役割をもった微生物がお互いに補完し合い連動し合い、相乗効果を出す仕組みを確立したのです。実地にEMと向き合い、その見えない存在の威力に感動を覚えながら、比嘉教授の「微生物の農業利用と環境保全」を読んで、その理論を知ろうと努めました。そして、不出来ながら、普及したい一心で幾つかのパンフレットも作りました。
以下は、EMの効果を実感した会の事例です。
【養鶏】畜産用のEMボカシを作り、それを自家配合した餌の中に混ぜて与えてみた所、次のような変化がみられた。
- 卵質や産卵率が向上した
- 悪臭が出ない
- 鶏同士の尻の突つき合いがなくなった
【農業】 篤農家の会員が、比較栽培でEMの真価を実感し、全ての畑に1反歩につき100キログラムのEMボカシや燻炭入りのEM堆肥を施肥し、以下のような結果がみられた。
- 白菜が毎年豊作で味がよい
- EM施肥一年目に、一部が根瘤病(根に癌のような瘤ができ枯れてしまう)にかかった際、EMの浸出液を動力機で地中にブスブスかん注したら直ってしまい全て出荷できた
- 堆肥の山からしぼれる水が、以前は黒くて悪臭がしたが、EM堆肥では水が透明で悪臭はない。
- かぼちゃは、主根からかなり離れているところまで沢山の白くて細い毛根が伸び広がっていたのには驚かされた
- 二年目だったが、白菜の作付け前にEMボカシ施肥後、畑全体をビニールでおおい、日光消毒をしたのが、嫌気性の光合成細菌をふやし腐敗菌を一掃したらしく、その年は黄化病の被害が他では多かったにもかかわらず、この会員の畑だけは全て大豊作であった
【その他】EM-Xでアトピーとリウマチが治った症例をもてた。
このような実証例を踏まえて、私達はEMにこそ環境全般にわたって根本的に解決する力があるのではないかと思い、EMによる排水の水質浄化実験を行いました。 結果は以下の通りです。
この実験を行ったことで、EMの排水浄化力が確認できただけでなく、その後、以下のような思いがけないチャンスに繋がりました。
- 茨城県の活動助成に応募し、採択され、実験に使った費用くらいの助成金を頂く
- 茨城新聞の一面「新環境宣言」シリーズに取り上げられる
- 茨城町の環境グループとの交流が始まる
- 会の「米のとぎ汁流さない運動モニター制度」へと繋がる
光合成細菌の普及
3・11をきっかけにEMの主役である「光合成細菌」が放射能を低減させると知り、会で検証して自分たちで納得することが前提条件なので、市の放射能測定器を使って以下のように2回検査してもらいました。
これらの結果から、光合成細菌の普及が何よりも優先だという観点から、学習と培養の取り組みを開始し、現在では上質な光合成細菌を提供できるようになりました。
光合成細菌を用いた堆肥実験
もったいない資源を活用することが会の基本的スタンスなので、光合成細菌液に手に入りやすい籾殻を浸してそれを生ゴミとサンドイッチにする堆肥実験も以下のように行いました。
- 決まった量の生ゴミと、一昼夜光合成細菌液に浸した籾殻を、毎日サンドイッチにして3週間積み上げていった。(通常、籾殻は水に浸しただけでは沈まないが、光合成細菌液に浸すと中のクチクラ層が分解され、沈むようになる)
- 通常、堆肥は切り返しを必要とするが、この場合は光合成細菌が嫌気性で100度以上の高熱でも生存できることから、切り返しは必要なかった。その代わり、下のものが古く、上のものが新しいため、一度だけ反転しながら移動した。その際、発酵熱がもうもうと上がっていた。
- 上にブルーシートを被せて2ヶ月間放置した。
- 2ヶ月後に中を調べたところ、温度は下がり、すべての生ゴミがなくなっていた。
これにより、住民参加による生ゴミの処理の仕方が可能であることを実感し、バイオマス活用推進計画申請後の具体的な材料になるのではないかという結論に達しました。今後、旧猿島町時代、住民によって非常に活用されていたリサイクルセンターが現在はあまり活用されていないので、市がこの実験を応用してもっと大規模な実験を行って欲しいと願っています。
今後の課題
現在多額の費用で焼却され、地球温暖化にもなる生ごみがもったいなく、有効活用できないかという取り組みも行っています。昨年茨城県から「地域の課題は地域で解決」という「コミュニテ―協働事業」のお誘いをうけ、「EM(有用微生物群)の中の主役、光合成細菌を使った生ごみの自家処理法と安全な社会創り事業」という題名で申請し、採択され、市の支援でフォーラムを開催、県からの助成金で光合成細菌を培養するビニールハウスを建設しました。安全な社会創り事業という意味は、光合成細菌が放射能を減少させる力があるという事です。協働事業のお相手である坂東市くらしの会の人達が、現在生ごみの自家処理を実践してくれています。
次のステップは、大量の生ごみをできるだけお金をかけず、省力化でいい堆肥にして活用していくことです。私達が市に以前から要望し、国が県や自治体に目標づけている「バイオマス活用推進計画」に申請し、国が認めれば、全国に発信され、活用され、放射能の不安にも希望の灯が灯されると信じています。光合成細菌のありがたさを知って頂くため、パンフレットやこんな物語も作りました。